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今日も零一さん、頑張ってるのかな…
大学で講義を受けながら、ふと思うのはいつも零一さんのこと。

最近、零一さんも学校が忙しいらしく会えない日々が続いてる。
せめて今日だけでも会えないかな…そう思って入れてみたメールの返事も、まだ返ってこない。

今日は零一さんの誕生日。わたしにとって大切な日だから…零一さんと一緒にいたかったんだけどな…

。・*:゜☆,・*゜☆
―結局講義に集中出来ないまま授業が終わり、帰り支度をして講義室を出た。そして大学の門まで来た時、見慣れた外車が停まっていることに気付いた。
(!まさか…!?)
慌てて運転席を覗いてみると乗っていたのはやっぱり零一さんで。「零一さん!」
―結局講義に集中出来ないまま授業が終わり、帰り支度をして講義室を出た。そして大学の門まで来た時、見慣れた外車が停まっていることに気付いた。
(!まさか…!?)
慌てて運転席を覗いてみると乗っていたのはやっぱり零一さんで。「零一さん!」
声を掛けるとわたしに気付いてくれて助手席のドアを開けてくれた。
「どうしてここに…!?」
「いや、それは…コホン!とにかく乗りなさい」
「は、はい」
まだ胸の高鳴りを抑えられないまま零一さんの車に乗り込む。
「では出発する」
何も訊く暇がないままゆっくりと走り出す車。
そして十分くらい経った頃、零一さんから話してくれた。
「…つい先程、君からのメールを確認した。俺は君に寂しい思いをさせてしまったようだな…」
「…もしかして、それで大学まで来てくれたんですか…?」
「何も、会いたいと思っているのは…君だけではない」
その言葉にハッとして零一さんを見つめる。…心なしか顔が赤いような気がするのはきっと気のせいじゃないよね?
「ありがとうございます、零一さん…嬉しいです」

「そうか。…これから臨海公園へ向かおうと思う。異議はないか?」
「はい」

。・*:゜☆,・*゜☆

風が冷たいこともあって、全く人気のない臨海公園の煉瓦道を零一さんと二人で歩く。
「…そうだ、零一さん。誕生日おめでとうございます!これ…誕生日プレゼントです」
わたしは持っていた紙袋を零一さんに差し出した。
何をプレゼントしようか散々悩んで、結局手編みのマフラーにしたんだけど。ただちょっと長く編みすぎたのが難点なんだよねι
「…ありがとう。開けてみてもいいだろうか?」
「はい」
「これは…君の手編みなのか…?」
零一さんがマフラーをジッと見つめながら云う。
そんなにじっくり見られると緊張する…
「そうです。だって零一さん、冬でもずっとスーツでしょう?だから寒いんじゃないかと思って」
「…君らしい発想だな。フム…細かいところまでよく出来ている。苦労しただろう?」
「そうですね…でも、零一さんの笑顔が見れるなら全然平気です!それに、今日は会えないと思ってたから…」
「そうか…済まない。」
「そんな!謝らないで下さい…忙しいのは零一さんのせいじゃないです」
表情が曇る零一さんを見たくなくて、慌てて否定する。
もちろん、会えるなら毎日でも会いたい。だけどそれはただのわたしの我儘だから…。
「…俺は、君を待たせるだけで終わりたくはない」
「?」
わたしを真っ直ぐ見つめる零一さんの真剣な瞳にドキッとする。

零一さんはわたしがプレゼントしたマフラーの片方を自分の首に巻き、余った半分をわたしの首に優しく巻いてくれた。―急に近くなる零一さんとわたしの距離。
「今日は君に聞いてもらいたい話がある。」
「はい…何ですか?」
背の高い零一さんの顔がよく見えるように、零一さんを見上げる。…何だか零一さん、緊張してるみたいだけど…。
「君が大学を卒業したら…その、俺と結婚、してくれないだろうか…?」
少しの沈黙の後、話し始めた零一さんの言葉にびっくりしてまじまじと零一さんの顔を見つめてしまう。
「!零一さん…!」
「君は俺が気持ちの整理をつけるまでずっと待っていてくれただろう?今度は、俺が君を待つつもりだ。もし心の準備が出来ていないというのなら―いつまでも待っている。いや…待たせて欲しい。」
「そんな、零一さん…わたしの答えはもう決まってますよ?」
零一さんの心からの言葉が本当に嬉しい。零一さんの生徒だった時から思っていたけど、やっぱりちゃんとわたしのことを考えてくれてる。零一さんとずっと一緒にいられるなら…後悔なんてしない。
「変わらないな、君は…その眼差しも君が俺の生徒だった時から変わっていない。…返事を訊かせてもらえるだろうか?」
「はい。大学を卒業したら…結婚して下さい、零一さん!」
「…そうか、ありがとう。焦っているかもしれない、と思ったりもしたのだが…どうしても今日この日、君に伝えたかった。」
「はい…」
フッと見せる零一さんの優しい眼差しに、自然と自分の頬を冷たいものが伝っていくのが解った。

「…コホン、泣くのはやめなさい…」
「だって、嬉しくて…」
「仕方ないな…」
少し困ったように笑って、零一さんの長くて綺麗な指がわたしの涙を拭ってくれた。
「俺はこれからも君と共に在りたい。…愛している。」
「わたしも愛してます、零一さん…」
背を屈めた零一さんの顔がゆっくりと近付く。肩に手が添えられ少しぎこちなく、だけどどこまでも優しく…唇が重なった。

。・*:゜☆,・*゜☆

「今日は零一さんの誕生日なのに…わたしが零一さんにプレゼントをもらったみたい…」
零一さんの車に乗り込みながら、ふと思ったことを口にする。
だけど零一さんは気にしていない様子で、頬を赤く染めてわたしを見つめながら云う。
「問題ない。俺はもう、最高のプレゼントをもらっている。」
「え?それって一体…?」
「…秘密だ。」
意味が解らず聞き返してみたけれど、零一さんは微笑んでいるだけで結局教えてくれなかった。
「これからカンタループへ向かう。俺の誕生日を祝ってくれるそうだ。」
「はい。…また益田さんに揶揄われちゃいますね?」
「そのことを考えると頭が痛い。しかし…今日ばかりはそれも仕方ないだろう。」
「アハハ、そうですね!」
「それでは彼の店へ向かうとしよう。」
「はいv」

ねえ、零一さん…これからも、ずっとこの先も。こうして誕生日、二人で祝っていこうね?

…生まれてきてくれてありがとう。

―FIN―

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先ずはお疲れ様です!カイくん。
やっぱりジブンはカイくんの書くセンセ好きだなぁ♪
プロポーズにキスなんてえ〜v
プレゼントは主人公なんですねっ!
良かったねえ。センセv


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そんな素敵な小説を書かれる陽月海球様のサイトは此方です!

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☆★CITRUS MINT★☆
ときメモGS葉月×主人公メイン氷室先生×主人公もある小説、イラストサイト様です。