「ん?かなり強い降りの様だな。」
帰り支度を手早く済ませ鞄を持ち職員駐車場へと向かう私は愛車の近くに佇む人影に気付き歩調を早めた。いや走っていた。
何故ならそこにいる人物は私の最愛の生徒であり恋人の葉月珪だったからだ。
彼は傘も差さずに一体、何をしているんだ?私は彼に対し軽い憤りを感じながら彼に近付いた。
「葉月。一体、傘も差さずにどうしたんだ?風邪をひくぞ。」
濡れた前髪から滴を落としながら彼は嬉しそうに微笑んだ。
「俺が、風邪、ひいたら…看病して…くれますか?」
「勿論だ。しかし今はその様な事を聞いてるのではない。ほら、早く傘に入りなさい。」
自宅に連れ帰る前に彼の濡れた身体をどうにかしないとならないと思った私は彼を保健室に連れて行くことにした。
寄り添うように傘に入ってきた相手の肩に触れると少し冷たかった。
私は来た道を彼と逆に歩き保健室を目指し急いだ。
時刻は既に夕刻を過ぎ校内は閑散としていた。
廊下を歩き進み保健室の前へ着くと彼を先に入るように促し入室をした。
保健室に入室した私は電気を点けタオルを探した。
勿論、保健教員は帰宅した後だ。
あった!とタオルを手にした途端、室内が真っ暗になった。
「停電か?」
窓に視線を向けると更に雨の勢いが増し空が不気味に仄白く光っていた。周囲の電灯も消えている様だ。
しかし少し経てば直に暗闇に目も慣れてくるだろう。予測不可能な事態に対し常に万全の対処法を備えている私にとって停電などなんの問題ない。
タオルを手に立ち上がりかけた私は後ろから抱きついてくる相手に気付かずそのまま重心を崩し倒れ込んだ。
「こ、こら。離れなさい。葉月。」
私は身体を起こしかけて上から見下ろしてくる相手を困惑した表情で見上げ言った。
「早く身体を拭かなければ風邪をひくだろう?さあ、早く退きなさい。」
「俺、寒いんだ…です。先生…温めて…くれ…ください。」
彼はそう言いながら私に更に体重をかけてきた。
彼の熱い吐息が耳元に吹きかかり私は思わず瞳を閉じた。
身体が次第に熱を帯びてくる。彼の濡れたシャツが肌に触れる度、また彼の身体も熱を帯びていると実感ができた。
彼の顔が近付き寂しげな翠色の眼差しに私が映る。また私の瞳も彼を映しているのだろうかと思いを馳せている内に静かに彼の唇が私の唇を塞いでいく。
瞳を閉じそのまま彼を受け入れ次第にお互いを求め合う様にねっとりとした舌先を絡め合い深い口づけを交わし合う。
その間にも葉月は私の着衣をスルスルと脱がしていく。ネクタイに手慣れた様に手をかけ引き抜きシャツのボタンを器用に外しながら私の肌を外気に晒していく。
唇から鎖骨へと彼の唇はなぞる様に移動をしていった。
抗おうにも抗い難い快楽に私の意識は朦朧としていく。
肌を彼に吸われ鈍い痛みに瞳を開け箇所を見ると胸板に無数の花弁を散らしたかの様に赤い痕が点々とついていた。
「痕に…なったらどうするつもりだ?」
彼は悪戯っぽい笑みを浮かべながら
「これ、あなたが…俺のモノって印…だから。」
愛おしそうに彼はその痕を見つめ指先でなぞるように触れていく。
「しかし、近い内に職員の健康診断があるんだ。」
「ふ…ん…健康診断?」
更に彼は小悪魔的笑みを浮かべながら私を見つめ
「虫に、刺されたとでも…でいいだろ…」
彼はクスクスと楽しそうに笑いながら首筋に更に痕を付けた。丁度、ワイシャツの襟元から覗くか覗かないかの位置にだ。
「こら、悪ふざけはやめないか!」
私は思わず声を荒げる。しかし彼には通用はしないようだ。
彼は更にクスクス笑いながら私の自身を着衣の上から触れ
「先生のココは、嫌がってない…みたい…ですけど?」
「こ、こら!やめなさいっ!」
「途中で、やめたら…つらいから。」
彼は私に乗りかかりズボンのベルトをカチャカチャと外しジッパーを下ろし私の自身を外気に晒した。
「かなり、大きく…なってる。先生の。」
彼は壊れものを扱うような仕草で私の自身を両手で包み込み顔を近付けていった。
制止しようとするにも間に合わず諫める言葉は発する事が出来ず代わりに私の口からは自身でも形容し難い、淫らな声を発していた。
言葉ではなくただ、彼から与えられる快楽に応じるだけの淫らな声…
彼を愛してるが私はこの行為に対しては疑念がまだあるようだ。
彼は私の自身を口に含み更に刺激をしてくる。
温かい湿りを帯びた彼の咥内で私の中の欲望が爆発した。
彼は満足そうに全てを飲み込み私の耳元に囁きかける。
既に意識を失いかけていた私は彼の言葉に力無く頷く。
「今度は、俺の番…先生の中に、早く…。」
彼は私の上に覆い被さり私の中に彼の自身を挿入する。
全身を引き裂かれる様な痛みに意識を奪われそうになりながらも私は耐えた。
これが彼を愛する証なら幾らでも耐えようと…
更に彼は私の中へと入ってくる。与えられる振動に思わず苦痛の呻き声を上げた。
「後、少し…だから。我慢して…ください。先生…。」
「問題ない…君から与えられる痛みにならば幾らでも耐えよう。」
「愛してます…先生。」
「私もだ…葉月。」
「名前、呼んで…ください。俺も、あなたの事を…零一って…呼ぶ…から。」
「ああ、珪…愛している。」
「零一…。くっ…」
全てを私の中へ放出した彼はパタリと私の上に覆い被さり火照る身体を静めるように瞳を閉じた。
既に外は嵐が過ぎ雨音も無く静かだった。彼の温もりと心音と息づかいだけが聞こえる。
私は彼の頭に手を撫でるように乗せしばらくその状態を楽しんでいた。
ふと電気が点き私は眩しそうに瞳を眇めた。
そして自身が一糸も身に纏っていない事に気付き気恥ずかしくなると既に服を着始めていた葉月がクスクス笑いながらこちらを見、言った。
「零一って、着やせするタイプ…なんだ…ですね?」
起き上がり服を取ろうとすると素早く私の服を回収した彼が悪魔的な笑みを浮かべながら
「もう、少し…見ていたい。零一の、可愛い姿。」
「成人男性に対して可愛いらしいという表現は不適切だ。早く服を返しなさい!」
どうやら私はこの葉月珪という恋人に今後も翻弄される様だ。
私は顔を真っ赤にしながら彼に衣服の返却を要求しながら一人ごちた。
END
反省文
実はこれメール返してる最中に思いついたネタなんですよ
当初は甲斐甲斐しく王子に世話を焼くセンセを書く予定でしたが…
ウチの王子は一筋縄ではいきませんから…またセンセ食われちゃったと(笑)えない…
まあ、ジブン的には久しぶりにQ書けて満足かなぁと
でセンセ、あの後、健康診断を無事に切り抜けたのでしょうか?
ではお疲れ様でした(笑)